海のものと山のもの

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食事は基本、自炊。疲れているときほど自分で作ったものを食べる方が回復が早いのです。普段はお弁当を作って持っていくのですが、事務所以外の場所に出かけることが多くなると、そもそもの買い物を控えてしまい冷蔵庫が空っぽ、なんてことが多々あります。そんな時に呪文のようにつぶやくのが「海のものと山のもの」。これは戦前の日本の小学校で実践されていたお弁当のルールなのです。

 

「窓ぎわのトットちゃん」をご存じでしょうか。黒柳徹子さんの小学校生活を綴ったノンフィクションは世界中で翻訳され、大ベストセラーとなりました。私がこの本を読んだのは高校生の時。トットちゃんが大切なお財布を“ポットン”つまり昔の汲み取り式のおトイレに落としてしまうエピソードを、英語の副読本として渡されたのがきっかけでした。

最初に入学した小学校を退学になり、トモエ学園に通うことになったトットちゃん。まだ学校給食など無い時代、お昼のお弁当について、トモエ学園の小林校長先生はトットちゃんのママにこう伝えました。

「海のものと山のものを入れてください」

海のものとは、海産物やそれが原料となっている加工食品。山のものは野菜や卵、お肉など、陸にいるもの、採れるものを指します。それを一つずつ入れてほしい、というのが校長先生からのお願いでした。

お弁当時間になると生徒全員が講堂に集まり、みんな輪になって食事を摂ります。広げたお弁当を校長先生が見て回り、どちらが欠けていると、後ろからついてきている先生の奥様に「海!」と言えばちくわの煮物が、「山!」と言われればお芋の煮っころがしが生徒のお弁当箱に入れてもらえるのです。なんて素晴らしいアイデアなのでしょう!海と山がそろうことで子供が劣等感を抱くことなく、楽しく食事ができたであろうことは、容易に想像がつきます。

この「海のものと山のもの」の考え方は、自分が食事を作るときに大いに役立っています。例えばメインは生姜焼きと決めたら、副菜はワカメときゅうりの酢の物とかキャベツとツナのサラダ、面倒なら蒲鉾を切るだけでOKと思えば気が楽というもの。細かいことを考えなくても、自然と栄養バランスも整います。

今の第6波では子供たちにまで感染が及び、休園や休校が増えていると聞きます。献立に頭を悩ませているお母様がいらしたら、ぜひこの「海のものと山のもの」を実践してみてほしい。何が海で何が山かを一緒に考えることは食育にもつながると思いますし、会話も弾むことでしょう。

 

 

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