神秘の花

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ネットで偶然見かけた写真に心惹れ、その風景なり実物なりを実際に見てみたくなる時があります。「ヒスイカズラ」を知った時もそうでした。植物にとって作り出すのが難しいとされている「青」。それをこんなにも見事に、優雅に咲かせる花があると知った時、絶対に見に行かねば!と心に誓ったのでした。

フィリピンのルソン島など、限られた島にだけ自生しているこの花は、近年の熱帯雨林の減少により絶滅が危惧されているとのこと。緑濃きジャングルの中に、どこまでも透き通るフィリピンの海の色を再現したような花が日の光を受けて輝くさまは、さぞかし幻想的でしょう。

関東でもいくつかの熱帯植物園で鑑賞することができるようですが、今回はドライブもかねて、とちぎ花センターに行ってきました。

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ここは観光を目的としたフラワーガーテンと言うより、地元の方たちの園芸促進を目的とした施設といった感じ。華やかさはありませんが、大きくて立派な熱帯植物園を備えています。

入ってすぐにランの企画展が催されていました。

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ランのような熱帯の花は、原種に近くなればなるほど、グロテスクだなと思うことがあります。形がきれいであるよりも、香りや色で自己の存在を主張することが、シャングルで生き延びる術なのかもしれません。

個性豊かな植物たちの森を抜け視界が開けると、目の前に独特の形をした美しいエメラルドグリーンのヒスイカズラが現れました。

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通常は3月中旬から咲き始めるそうですが、今年は3月下旬にやっと開花。歴代2位の遅さだったそうです。一定の温度と湿度に保たれている温室の中で育っていても、つい最近までの外の寒さを感じ取っているとしたら、自然の能力ってすごい。

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出口でアンケートに答えたお礼として、神様がつくりたもうた神秘の花をいただきました。(もちろん落ちた花です)

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このまま押し花にして取っておきたいくらいですが、半年もすれば色が抜けてしまうので向いていないのだとか。確かに1日たった今、美しかった水色がだいぶ白っぽくなってきています。ヒスイカズラ花言葉「私を忘れないで」はこんな儚さを表しているのかもしれません。でもしかし、一度見たら決して忘れないでしょう、神秘的で美しいこの花のことは。