青森・奥入瀬の旅~森の神話~

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新幹線に乗り、一路八戸へ。きっと一面の銀世界に違いないと思い込んで降り立った八戸駅周辺は、数日前に降ったと思われる雪が道路の片隅に残っているだけの普通の街。後で知ったのですが、この辺りは青森の中でもほどんど雪が降らない地域なのだそうです。

しかし迎えに来ていたバスに乗って1時間、ホテルに近づくにつれ次第に雪景色にとなり、落葉してあらわになった木々の幹や枝が作りだす自然の造形美に、萎み切っていた五感が潤い始めます。

車寄せにバスが着きドアが開いたとたん、目に飛び込んできたのは、ロビーの奥にあるラウンジでした。大きな窓から見える日本画のようなモノトーンの世界と天井から下がる大きな鐘。暖炉には火が入り、用意されたウェルカムドリンクの柔らかい香りが漂ってきます。この象徴ともいえる鐘の作者は岡本太郎さん。作品名の「森の神話」がそのまま、ラウンジの名前にもなっています。

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鐘に施された太郎さんらしいモチーフからは力強い生命力を、荒ぶる魂をなだめるように炎のリズムに合わせて舞い踊る古代の人々の姿や、爆ぜる火の音や鳴らす手の音、指笛までもが聞こえてきそう。太古、人はもっと自由に、本能に従って生きていた気がします。火を囲んで生活を営み、儀礼や祭礼を執り行い、祈りをささげる。炎にも似た、燃えるようなエネルギーを持っていたように思えてならないのです。岡本太郎さんの作品はどれもそんな力を感じるし、青森という土地も似たようなエネルギーを秘めているように感じられて、結局、滞在中のほとんどを、このラウンジで過ごしたのでした。部屋にこもって本を読もうと、広めのタイプを予約したのにね。

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炎の揺らぎ、薪のはぜる音はなぜこうも心を温めるのだろう

 

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